「ビール」というと、みなさんどんなものを想像するでしょうか?黄色い飲み物で、お酒で、泡が立って、苦くて……。日本のみなさんに限らず、世界中の人々が「ビール」というとこのような想像をされますが、それは数多くあるビールの中で、「ピルスナー」というスタイルのことです。ビールは大きく分けてエール(上面発酵)とラガー(下面発酵)の2種類がありますが、ラガーの代表である淡色のラガー、つまりペールラガーといえばまさにピルスナーなのです。
ピルスナーは、チェコ西部・ボヘミア地方のプルゼニュ (Plzeň) で誕生したビールの種類です。プルゼニュは、英語やドイツ語ではピルゼン (Pilsen) と呼ばれており、そこからこのビールは「ピルスナー」という名前になりました。プルゼニュは、自動車メーカーのシュコダが工場を構えるなど工業都市として知られていますが、ちょうど工業化が進んでいた19世紀中ごろにこのビールも誕生しました。
ヨーロッパでは、水といえば一般的には硬水です。もちろんビールも硬水を使って作られていましたが、チェコの中でもプルゼニュの水は日本と同様の軟水でした。この軟水と、ドイツ産ザーツホップ、チェコ東部モラヴィア地方産の麦芽、さらに下面発酵のラガー酵母を組み合わせてできあがったのが、黄金色に透き通ったピルスナーなのです。最初期のピルスナーを作った醸造所は後に「ピルスナー・ウルケル (Pilsner Urquell)」と名乗りました。ウルケルとは、英語では「オリジナル (original)」に相当する単語で、その後世界的に有名なブランドになります。ピルスナーは日本を含めた世界中に輸出され、工業生産されるビールの代表となりました。時を経てピルスナー・ウルケルの醸造所は売却されることになり、2017年からは日本の大手ビールメーカー・アサヒビールのものになっています。
クラフトビール界においては、「クラフトビールならでは」ともいえるエール系の方が主流のため、ピルスナーを含むラガータイプはあまり多くはありませんが、やはりいわゆるビールといえばピルスナーということもあり、特に地ビールブームの頃から醸造しているブルワリーやチェコビールにこだわりのあるブルワリーでは看板ビールとしてピルスナーを醸造しています。また、若手のブルワーが立ち上げた新しいブルワリーでも「イタリアンピルスナー」や「アメリカンピルスナー」など新たな試みに挑戦しているところもありますので、ぜひ探して飲んでみてください。
337 Aleでこれまで取り扱ったピルスナーの一例
▲滝川クラフトビール工房 北海道滝川市
商品名:空知ピルスナー
アルコール度数:5%
▲月山ビール 山形県西村山郡西川町
商品名:ピルスナー
アルコール度数:4.5%

▲KAWABA BEER(川場ビール) 群馬県利根郡川場村
商品名:雪ほたかピルスナー
アルコール度数:5%

商品名:ピルス
アルコール度数:5%